Greetingごあいさつ
認知症の状態にあっても
安心して生きていける地域社会へ
豊心会の理念は、いわば「自分が自分として生きること」の支援です。事業を通して実現したいのは、年齢や認知症など障害の有無に関わらず、安心して暮らし続けられる地域社会をつくること。〝認知症を〟学び、〝認知症から〟学びながら、まちと認知症の方との「共生」を実現する仕組みづくり・環境づくりに取り組んできました。
介護の専門職としては、利用者さんと、人と人としてつき合う姿勢を大切にしています。利用者さんが地域の一員として生きていくために、施設を地域にひらき、職員も地域活動に参加して、互いに絆を結んできました。
また、「共生」の土壌をつくるために、ご家族や地域に認知症を正しく理解していただく啓蒙活動や、地域にサポーターをつくる活動を定期的に続けてきました。市内の認知症サポーターは五千人を超え、認知症の方の安全確保につながった例も生まれました。「偏見や理解不足が差別を生む」と、知って欲しかったことを代弁してくれた小学生もいます。
さらに、認知症の状態にある方が、社会で力を発揮する機会を創出することにも挑戦しています。利用者さんが調理や接客を行なう「ハプニングラーメン」では、彼らの生来の優しさが全開になります。認知症でもできるのではなく、認知症だからこそ創り出せる笑顔がある。多少のミスを「ま、いっか」と許容すれば、他に代え難い穏やかさが生まれます。
設立当初、認知症の状態にある方への支援は黎明期でした。私たちは常に、施設やサービスが利用者さん本人にとってどうかという視点にこだわり、手探りで歩んできました。以来20年、「人が人を支える」とはどういうことかを考え実践してきたつもりです。
できること、やるべきことはまだまだあります。今後も利用者さんと目線を合わせ、隣を歩くようにして、生きることを支えていきます。
特定非営利活動法人豊心会
理事長 今野 秀吉